目的
溶媒を用いることなく、極めて細径でありながら径の均一性が高く、また物性的にも優れた極細繊維を提供する。
効果
原料の熱可塑性高分子に高エネルギーの熱線である赤外線を照射し、急速にきわめて粘度の低い融液とすることによって、電場の引力により曳いて紡糸することができるようになるから、極めて細い繊維を造ることができる。この方法により、従来のメルトブローン法等の直接紡糸法では不可能とされていた直径3μm程度以下の極細繊維を、溶媒を用いずに量産することが可能となる。紡糸時に高分子を十分粘度の低い溶融状態にできるため、高分子の分子量が大きくても糸切れなく紡糸ができる。
技術概要
図1は極細繊維製造方法を実施するための装置の概略構成を示す図である。原料として繊維状の熱可塑性高分子を使用する。原料繊維1が、レーザービーム11を照射されて溶融し、高電圧の電場引力で曳かれ、極細繊維10となってターゲットである捕集板9に到達して捕捉される。原料繊維1は、偏向ローラ3により進行方向を決められ、夫々モータに駆動されるニップロール6aと6bおよびニップロール4aと4bに銜えられて引かれ、オリフィス(ニードル)5を通ってから出る。オリフィス5の出口では、赤外線源である炭酸ガスレーザー7が目標を定めて原料繊維1にレーザービーム11を照射する。一方、オリフィス5と捕集板9との間には、電源12から直流高電圧が印加されている。溶融している原料繊維1は、その電場引力に曳かれて細化し、目的とする直径の極細繊維10となり、そして捕集板9の上に無秩序に捕捉された繊維集合体となる。図2、図3は極細繊維製造方法を実施するための装置の他の例の概略構成を示す図である。
改善効果1
赤外線照射により急速昇温して十分粘度の低い融液にした直後に電場の引力により引き伸ばされて急速に冷却され固化するため、高温かつ低粘度の状態にある時間はきわめて短く、熱分解による物性低下も避けられる。そのため糸強力等の物性面でも優れた繊維が得られる。直径ムラも少なくなる。この製造方法で、電場形成のための電極形状や電極間の電位分布を制御することにより、得られる繊維集合体中での繊維配向を制御することも可能である。
改善効果2
また溶媒を使用しないため、溶媒回収コストの不要だけではなく、資源の節約、溶媒の飛散がない等の環境維持の面から好ましい。さらに、連続的に極細繊維を製造でき、さらにはその極細繊維で連続的に不織布を製造できる。そのため、高い生産性の製造方法であり、安価に極細繊維およびその不織布を製造できる。